「知財管理」誌

Vol.74 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 9号 / 1143頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 555)
論文名 (No. 555) 意匠の類否判断の主体となる需要者の認定及び出願前の意匠開示と守秘義務の判断─瓦事件─
著者 恩田博宣/森 有希
抄録  本稿は標記事件について、主に二つの観点から論考を試みるものである。一点目は「意匠の類否判断において判断主体となる需要者の認定が判断結果に及ぼす影響」について、二点目は「出願前に他者に意匠を開示した場合における黙示的な守秘義務の認定」について、判決の中で示された判断を検討するとともに、実務への応用について言及する。前者については、需要者を検討・認定する際に、出願・審査・係争時等の検討を行う局面や検討者の立場を明確にし、物品の装飾的・機能的な要素の有無・軽重を考慮して需要者を認定することを提言する。その上で、需要者の観察視点、すなわち、その需要者が「いつ、どこで、どのような状態で、どのような点に関心を持って」意匠を観察するかを検討者が具体的に想定した上で類否判断を行うことが昨今の裁判実務に合致する。後者については、出願前に他者へ意匠等を開示する際や、新規性喪失例外適用申請の際の留意点、及び権利行使を受けた場合等の方策を述べる。
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