抄録 |
インドでは、クレームの補正は、特許付与前でも、1970年インド特許法59条(1)に定められる「補正前の明細書のクレームの範囲内」でしなければならず、クレームの拡張は認められない。また、「補正前の明細書のクレームの範囲内」が厳格に解釈されており、出願当初のクレームに記載されていない構成を追加する補正が一切認められない傾向にあった。本稿で取り上げる、デリー高等裁判所の判決NIPPON A&L INC. v. The Controller of Patents(NIPPON事件)では、「product by process」のクレーム1)を「process」のクレームへとカテゴリー変更する補正を、「補正前の明細書のクレームの範囲内」という要件を満たすと判断された。また、この判決の影響を受けて、デリー高等裁判所の判決Allergan Inc. v. The Controller of Patents(Allergan事件)では、「治療方法」のクレームを「インプラント」という物のクレームへ変更すると共に、出願当初のクレームに記載されていない構成を追加する補正を認めた。上記2つの判決は、従来の補正内容の制限に関する特許法の厳しい解釈を緩和する内容になっており、これらの判決によって、クレームの補正の制限が緩和されることが期待される。 |