「知財管理」誌

Vol.74 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 1号 / 107頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 548)
論文名 (No. 548) 「略多角形」のクレーム記載の 裁判事例を例にした実務上の留意点
著者 横井知理
抄録  本件は、無効審判および知財高裁において、構成中に「略多角形」という文言を含む請求項の明確性が争われた事案である。「略多角形」が「基礎となる多角形」と実質的に同一視できるかではなく、「略多角形」と「基礎となる多角形断面」とを技術的に区別する必要があるかが争われた。審判合議体は、明細書に「略多角形」の定義があり、その作用効果も潤滑剤がたまる「角」がなくなるよう積極的な処理をした状態と理解しうることから、「基礎となる多角形断面」との相違は明確と判断した。一方、知財高裁は、「略多角形」の定義があり作用効果から積極的な処理をしたものと一応解されるものの、技術常識を踏まえても、客観的な形状からは「基礎となる多角形断面」と「略多角形」の区別ができず、どの程度の丸みを帯びれば「略多角形」となるかも明らかでないとして、明確性を否定した。本稿では、この事件を例に実務上の留意点を検討した。
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