「知財管理」誌

Vol.74 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁	74巻(2024年) / 12号 / 1614頁
論文区分	判例と実務シリーズ(No. 556)
論文名	(No. 556) 商品の形態と「商品等表示」該当性及び「混同のおそれ」─気管支喘息用吸入薬事件─
著者	福田あやこ
抄録	X商品は、医療用医薬品（気管支喘息用の吸入剤）であり、Y商品はその後発品である。原審判決は、商品の形態が不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するための要件として特別顕著性及び周知性を挙げつつ、出所表示機能を有しない場合には特別顕著性又は周知性があるとはいえず、医療用医薬品は医師及び薬剤師が商品形態によって出所を識別するものではないとしてX商品の商品等表示該当性を否定し、混同のおそれも否定して、Y商品の製造等は不正競争にあたらないとした。本判決は、X商品について特別顕著性及び周知性のいずれも否定して商品等表示にあたらないとし、混同のおそれも否定して、原審判決の結論を維持した。「商品等表示」該当性の判断枠組みは従来の判決例を踏襲するものであるが、医療用医薬品についての判決例は多くない。需要者が専門家である特殊性に鑑み、厳格な要件判断を改めて示した点で、本判決は実務上参考になる。