「知財管理」誌

Vol.74 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 11号 / 1397頁
論文区分 論説
論文名 実施可能要件が求める「使用できるように」とは
著者 長野篤史
抄録  実施可能要件を満たすためには、当業者が、物の発明についてはその物を生産及び使用できるように、方法の発明についてはその方法を使用できるように明細書を記載しなければならない。それでは、「使用できるように」とはどのような意味であろうか。例えば、「使用できるように」は、明細書に記載された「所期の作用効果」を奏する態様で使用できることを求めているのであろうか。審査基準、審査ハンドブックの事例集及び過去の裁判例を俯瞰するとともに、実施可能要件とサポート要件との関係や、委任省令要件が求める「技術上の意義」との関係を検討した。結論としては、「使用できるように」を満たすためには、物の発明であれば、請求項に係る物をその用途で使用できることが理解できるような、およそ形式的な記載があればそれで足りると考えるべきである。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.