「知財管理」誌

Vol.74 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 11号 / 1367頁
論文区分 論説
論文名 「何でもイノベーション症候群」の陥穽─イノベーションの意味を再考・再確認する─
著者 妹尾堅一郎
抄録  「何でもイノベーション症候群」がまん延している。経済学で提唱された「イノベーション」という概念は経営の世界に浸透した後、今や科学技術分野から教育や地方再生まで、あらゆる領域・分野で喧伝されている。もちろん言葉は生ものであり、概念は拡張していくのが常であるから唯一の正解はありえない。ただし、お互い分かったつもりの「なんちゃって議論」、R&D部門と知財部門と事業部門の間で異なる認識による「ズレズレ議論」、言いっぱなしの「居酒屋談義」等では的確で建設的なコミュケーションはできず、ビジネスイノベーションを生むのは難しい。本稿は、「イノベーション」概念を再考し、ビジネスの検討に有効な定義(イノベーションとは、新価値の創出・普及・定着(社会実装)を指し、価値システム全体のドミナントモデルを転換すること)を提案し、企業内部門間や企業間さらには産学官公民の連携等に資するための議論を行う。
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