「知財管理」誌
Vol.73 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 6号 / 690頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 欧州における抗体特許─機能的クレームの記載要件─ |
著者 | 藤本なほ |
抄録 | 今日の医薬品業界はバイオ医薬品が登場以来、今や低分子医薬品と同等或いはそれ以上に重要な位置を占める。新規開発された成分を特許化する際、対象となる成分を特定するには基本的にはその構造と機能の何れも用いる事が可能であるが、機能的定義の方が権利化が困難な事が多い。その為、低分子医薬品は化学構造を用いる定義が有用である。他方、バイオ医薬品の場合は低分子ジェネリック薬品と違い、後続品有効成分の構造は先発医薬品と比べて類似性は高いものの、同一ではない。また、有効成分の結合する標的が特定されていれば、作用が同一でも有効成分の構造は異なる新薬開発もあり得る。そのため妥当な保護範囲を取得するには構造定義は不向きである。ここでは、バイオ医薬品の主役である抗体医薬を例として、アムジェン社対サノフィ社の抗体特許係争など最近の判例も踏まえた上、広範囲クレームを可能とする機能的クレームの特許要件、特に記載要件を欧州の観点から考える。 |