「知財管理」誌
Vol.73 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 5号 / 531頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 欧州統一特許裁判所(UPC)条約発効後の欧州特許戦略─日本企業のための有効なドイツ特許制度の活用─ |
著者 | 竹中俊子/クリストフ・カール |
抄録 | 欧州統一特許裁判所(UPC)条約の発効によって、欧州で最大の市場を持つドイツで発明を保護する選択肢は(1)ドイツ国内特許、(2)ドイツ実用新案、(3)従来の特許の束として取得した欧州特許から国内移行したドイツ特許、(4)新しいUPC条約加盟国全域に権利が及ぶ欧州単一特許に増え、その権利行使についても、a)従来のドイツ国内裁判所、b)UPCのローカル裁判所として機能するドイツ裁判所、c)UPCの中央裁判所として機能するドイツ裁判所での訴訟が可能になる。特許権者の観点からは、コスト削減だけではなく、権利行使に有利なドイツ国内裁判所の管轄を確保する権利取得戦略が重要であり、権利行使される立場からは、従来のEPOの異議申立と新たに導入されるUPC中央裁判所の無効訴訟の長短を理解して、より確実に問題となる特許を無効にする戦略が望まれる。本稿では、権利者と権利行使される者の立場から、UPC条約発効後のドイツにおける権利取得及び行使戦略と防御戦略を検討する。 |