抄録 |
近年、標準必須特許(Standard Essential Patent、SEP)の増加に伴い、日本企業が中国においてSEP関連訴訟に巻き込まれるリスクが増大している。SEPは、標準の規格に準拠した製品を製造するためにその発明を実施することが必須となる特許であり、通信分野においては規格を統一し、標準化することは欠かせないため、多くのSEPが存在し、最も通信分野での訴訟が多数行われている。特にSEPの性質上、その訴訟が複数国にまたがり、複数の訴訟が行われている。そこで本稿ではSEP関連訴訟リスクの備えとして、訴訟において争点となることが多い管轄権の決定、ライセンス規則に関しての判例の検討を行った。また、SEP関連訴訟で問題となる独占禁止法及び通信分野以外の分野におけるSEP関連訴訟について検討を行った。各裁判所はSEPに関して幅広い管轄権を有しており、中国国内での裁判管轄権は最初に訴訟を提起された裁判所と判断されていた。行為保全措置の申請を行うことにより禁訴令の容認判決を得られる可能性が高く、中国のSEPのライセンス料率はグローバルに用いられている一般的な考え方に基づいて判断されていた。 |