「知財管理」誌
Vol.73 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 10号 / 1191頁 |
論文区分 | 特集(知財立国20年 これまでとこれから) |
論文名 | 知的財産法の過去・現在・未来 |
著者 | 中山信弘 |
抄録 | 私が研究者を志した昭和40年代頃は、知的財産法はマイナーな法律で諸法の一つと言われていたが、現在では隔世の感がある。IBM事件を契機に情勢は激変し、知的財産法を専門としたいという実務家や学者が急増し、斯界の水準が向上した。この事件を境にプロ・パテントの機運が高まったが、知的財産権は強化すればするほど創作意欲を刺激し、社会に裨益するというほど単純なものではない。強すぎる知的財産権をどのように抑制するのか、あるいはコモンズの思想とどのように調和してゆくのか、が重要となろう。 このような背景の下に内閣に知的財産戦略本部が設置され、知的財産基本法が制定され、知的財産高等裁判所も新設された。今後情報化がさらに進むと考えられるので、情報を規整する法は存続するであろうが、それがどのような形になるのかは誰にも判らない。これからの知的財産制度を担ってゆく者は、将来の姿を想像し、いかなる変化にも対応できる知力を身に着けておくべきであろう。 |