「知財管理」誌
Vol.72 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 72巻(2022年) / 9号 / 1109頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 73) |
論文名 | (No. 73) [米国]2016年Halo事件最高裁判決後の動向─故意侵害の認定と増額賠償の判断の基準を明確化した事例─ |
著者 | 荒木昭子 |
抄録 | 2016年のHalo判決で、米国連邦最高裁判所は、故意侵害に基づく増額賠償の判断基準を変更し、増額を認めるためには「酷い侵害行為」という行為の悪質性が必要であるとした。Halo判決のもとで、実務上は、まず陪審が故意侵害の認定を行い、故意侵害が認められた場合に裁判所が裁量により増額の有無及び金額を判断するという二段階の判断枠組みが取られている。従前、Halo判決が要求した行為の悪質性は、故意侵害の要件であるのか、増額判断の要件であるのか、裁判所によって判断が分かれていた。2021年9月のSRI事件CAFC判決は、行為の悪質性は故意侵害の要件ではなく、増額の要件であることを明らかにした。本稿では、本判決を解説することで、Halo判決のもとでの故意侵害に基づく増額の判断基準を明らかにするとともに、Halo判決後約6年間の判決の蓄積をもとに、増額の判断を回避するために考慮すべき実務上の留意点や、本判決後も残された論点について述べる。 |