「知財管理」誌
Vol.72 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 72巻(2022年) / 12号 / 1509頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.535) |
論文名 | (No. 535) クレーム用語の意義解釈の判断が分かれた事件─輸液製剤事件─ |
著者 | 細田芳徳 |
抄録 | 本事件の最大の争点は、クレーム用語の意義解釈であり、原審と控訴審とで判断が分かれた事件である。その結果、輸液製剤という物の発明では、原審と控訴審は共に被告製品に対し構成要件充足性を否定したが、保存安定化方法という単純方法の発明に対して、控訴審は直接侵害を認め、被控訴人らによる被控訴人製品の生産、譲渡等の行為は特許法101条4号の定める間接侵害行為に当たるとして、構成要件充足性を否定した原審判決を取消した。本事件では、「室」という用語の解釈において、「連通可能」という限定の有無が問題となり、課題・解決手段との関係や、物の発明と単純方法の発明の違いを考えさせる興味深い事件である。 本稿では、用語の意義解釈において、判断が分かれた原因はどこにあるのかについて、限定解釈に関する従前からの裁判例も参照しつつ考察すると共に、単純方法などの方法の発明の意義についても考察する。 |