「知財管理」誌
Vol.72 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 72巻(2022年) / 11号 / 1381頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 534) |
論文名 | (No. 534) 予測できない顕著な効果の有無を判断した事例(消極)─「骨粗鬆症治療剤ないし予防剤」審決取消請求事件─ |
著者 | 藤野睦子 |
抄録 | 容易想到性判断における「予測できない顕著な効果」の有無は、最高裁令和元年8月27日第三小法廷判決(平成30年(行ヒ)第69号審決取消請求事件〔局所的眼科用処方物〕、以下「最高裁判決」という。)により、いわゆる「対象発明比較説」によることが明らかにされた。 本件は、無効審判請求成立審決に対する審決取消請求訴訟であって、最高裁判決の事案と同様、化合物の医薬用途に係る発明の事案であるところ、本判決は、上記最高裁判決を参照しつつ、予測できない顕著な効果の有無を判断し、結論としては、予測できない顕著な効果が認められず、引用発明から本件発明が容易想到(進歩性欠如)であるとして、原告(特許権者・無効審判被請求人)の請求を棄却した。 そこで、本稿では、前記最高裁判決の事案との違いも含めて、本判決が上記結論に至った過程を検討し、実務上の留意点を考察する。 |