「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 75巻(2025年) / 3号 / 372頁 |
論文区分 | 知的財産Q&A(No. 184) |
論文名 | (No. 184) 遺伝資源等の出所開示に関するWIPO新条約 |
著者 | 医薬・バイオテクノロジー委員会CBD対応WG |
抄録 | 遺伝資源等の出所情報開示の議論は特許法条約(PLT:Patent Law Treaty)の議論の過程で始まりました。1999年のWIPO 第3回特許法常設委員会において一部の途上国が遺伝資源等の保護の重要性を強硬に主張し、遺伝資源の出所情報を特許出願書類に記載することを義務付けることをPLTに盛り込むことを提案しました。先進国側はこれに反対し、議論は紛糾しましたが、結局はPLTには盛り込まれなかったものの、2000年の世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)の総会にてIGC(Intergovernmental Committee on Intellectual Property and Genetic Resources, Traditional Knowledge and Folklore)を設置し、議論を継続していくことが決定されました。その後47回の会合を経ましたが、EUなど先進国の一部で歩み寄りもみられたものの、遺伝資源の出所情報の開示を強く主張する途上国と出所開示に反対する先進国の隔たりは埋まらず議論は平行線をたどっていました。そして、2022年のWIPO総会において途上国側の強い要請により議論が平行線の状態のまま、外交会議を遅くとも2024年までに開催することが決定され、2024年5月13日から24日の日程で、スイス ジュネーブで外交会議が開催され、「知的財産、遺伝資源及び関連する伝統 的知識に関する条約」1)が採択されました。ここではその条約についてQ&A形式で解説します。 |
