「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 8号 / 1122頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 519) |
論文名 | (No. 519) ボロン酸化合物製剤事件─サポート要件の判断基準は変更されたのか─ |
著者 | 淺見節子 |
抄録 | サポート要件に関しては、平成17年の偏光フィルム事件の知財高裁大合議判決以降、多くの判決が言い渡されてきた。多くの事件においてサポート要件は、特許請求の範囲に含まれるもの全体について発明の詳細な説明の記載と技術常識に基づいて発明の課題が解決されているかという観点から、特許請求の範囲の広さを問題にするが、本事件では、課題の解決が特許請求の範囲に記載された物によってなされているのかが争点となった。本判決では、厳密な科学的な証明に達する程度の記載までは不要としたうえで、サポート要件を充足していると判断された。本稿では、偏光フィルム事件判決と対比してサポート要件における記載の程度について検討し、本判決は、サポート要件の判断基準を変更したものではなく、妥当であると結論づけた。また、サポート要件の判断における出願後に提出された資料の参酌や、発明の価値と発明の詳細な説明の記載の程度についても若干の考察を行った。 |