「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 7号 / 986頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 62) |
論文名 | (No. 62) [米国]Thryv最高裁判決および IPRと上訴に関する判例の展開 |
著者 | クリストファ リチュウティ/尾上友紀 |
抄録 | 米国特許商標庁(USPTO)の特許審判部(PTAB)は、当事者系レビュー(IPR)の審理開始(institute)可否を判断するにあたり様々な決定を行う。当事者にとっては、そのうちどの決定事項について連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に上訴可能であるかが重要な問題である。Thryv, Inc. v. Click-to-Call Technologies, LPにおいて最高裁は、PTABによる決定のうち、特許法第315条(b)の適用に関する決定は上訴不可であるとの判決を下した。315条(b)は、特許侵害訴訟の訴状送達(service)を受けてから1年以内にIPR申請を行う必要があるという期限を規定する。Thryv最高裁は、PTABによる審理開始可否の決定は上訴不可であるとの314条(d)の規定を315条(b)にも適用してその判決を下したが、他のPTAB判断についての上訴可否についてはまだ不明瞭な点が残っている。今後の最高裁、CAFC判決に加えて、上訴不可事項に関してはPTABにおける判例展開についても注目される。 |