「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 2号 / 216頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 英国訴訟における均等論/経過参酌の動向調査 |
著者 | 国際第2 委員会 第1 小委員会 |
抄録 | 英国におけるクレーム解釈に関して、近年文言侵害を堅持してきた英国裁判所は、2017年にその姿勢を大きく転換して均等の範囲の拡大を認め、審査経過参酌にも言及し、大きなインパクトを与えた。 本稿では、英国におけるクレーム解釈の沿革や、Improver判決で示された均等論の判断基準、同判決の判断基準を再構築したActavis判決をレビューし、その後のいくつかの知的財産企業裁判所(Intellectual Property Enterprise Court、IPEC)及び特許裁判所(Patents Court)での均等論に関わるクレーム解釈について紹介する。今回の英国裁判所における均等侵害を日本の場合と比較すると、特許出願の際に将来のあらゆる侵害の態様を予想して特許請求の範囲を記載することは困難であるという考えは日英で共通しているようである。その一方で、英国においては、「構成要件の一部を置換する」という考えよりも「inventive concept」の考えに基づいて、より広く均等侵害を認定しているように見受けられる。 |