「知財管理」誌
Vol.71 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 11号 / 1534頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 523) |
論文名 | (No. 523) 両面粘着テープ事件を契機とする,明確性要件を 判断した重要裁判例の総覧と判断傾向の分析 |
著者 | 高石秀樹 |
抄録 | 本稿は、明確性要件を満たさないとした異議決定を取り消した〔両面粘着テープ事件〕知財高裁判決を契機として、明確性要件について判断した近時の重要裁判例を総覧するものである。明確性要件に関する近時の裁判例の傾向は概ねプロパテントであり、明細書の記載及び図面を考慮してもクレーム文言解釈が一義的に定まらない場合でなければ明確と判断される傾向にある。発明の課題を解決できると当業者が認識できること、官能試験の不備など、サポート要件で問題となる事項も、明確性要件では問題とならない。程度を表わす文言についても、課題を解決できる範囲という意味で明確とされる傾向にある。さらに、数値範囲の端部がクリアに決まらなくても、その“ぶれ”が僅かであるならば明確性要件違反ではないと判断されている。 |