「知財管理」誌

Vol.71 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 71巻(2021年) / 10号 / 1287頁
論文区分 論説
論文名 中国における 知的財産権侵害の警告と不正競争防止法 ─「過失論」の視点から─
著者 王 学士
抄録  2015年5月に中国の最高人民法院は「深セン邁瑞案」の再審において、知的財産の権利侵害警告状に対する不正競争防止法による判断を初めて行ったが、権利侵害警告状の性質が不明であるため、送付対象、送付方法、送付内容に基づいて警告状の正当性を判断する伝統的な考え方は裁判に効果的に指針を提供することができるかどうかについては再考の余地が残る。知的財産の権利侵害警告状の性質が独占権行使行為であり、このような権利行使行為が濫用されるかどうか、あるいは独占権の法定範囲を超えて自由競争を侵害しているかどうかを判断する際に、警告者の意図を認定するために、警告の対象、警告の方法、権利範囲などの要因に対する考察は、警告行為が独占権の固有構成を超えているかどうかを考察するのに役立つ。権利侵害警告状の正当性を判断するキーアイデアであるとして、警告者の主観的要件たる「過失」は、独占権の法定範囲を超えるかどうかをさらに判断する要因となるべきである。
Copyright (C) Japan Intellectual Property Association All Rights Reserved.