「知財管理」誌
Vol.69 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 69巻(2019年) / 3号 / 378頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 492) |
論文名 | (No. 492) 先使用権の成立要件「対象製品に具現された技術的思想」と「特許発明の技術的思想」の同一性 |
著者 | 重冨貴光 |
抄録 | 先使用権の成立要件に関し、先使用権主張の対象製品に具現された技術的思想と、特許発明の技術的思想が同じでなければならないと判示し、両技術的思想の同一性を否定して先使用権の主張を斥ける判決がなされた(知財高判平成30年4月4日(平成29年(ネ)第10090号)「ピタバスタチンカルシウム医薬事件」)。この判決は、ウォーキングビーム事件最高裁判決1)が先使用権成立の要件として要求する「特許出願に係る発明と同一の『発明』が存するか否か」を検討するにあたり、先使用権を有するといえるためには、対象製品に具現された技術的思想が特許発明と同じ内容の発明でなければならないという形で、規範を整理して判示したと解される。先使用権主張者としては、当該対象製品に具現された技術的思想が特許発明の技術的思想と同じ発明であることを主張立証できるように、対象製品の技術的仕様を適式に記録・保存することで管理することが求められよう。 |