「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 9号 / 1255頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.319) |
論文名 | No.319 商標法50条による不使用取消を免れる使用形態―「コスメディカルズ」事件― |
著者 | 若松陽子 |
抄録 | 本件は、原告Xが、本件登録商標である「コスメディカルズ」の商標権者である被告Yに対し、商標法50条に基づく不使用による本件商標取消審判請求を行ったが、不成立の審決がなされたため、その審決の取消を請求した事件である。 本件判決は、Yのパンフレットにおける本件商標の記載をもって商標の使用と認めた審決に誤りはないとして、Xの請求を棄却した。すなわち、パンフレットにおける本件商標の使用は、Yが提案する美容方法、その美容方法のキャッチフレーズないしYの営業表示に限定して用いられているものではなく、また購買者向けの単なる商品取扱説明書ではなく一般消費者をも念頭においた「広告」であり、さらに商標法2条3項8号の「展示」「頒布」は不特定多数を対象とする場合に限定すべきでないと判示した。 本件は、商標法50条による取消を不成立とさせる「使用」の境界事例である。 |