「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 5号 / 531頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 知的財産権の一括管理と信託 |
著者 | 渡辺宏之 |
抄録 | 約80年ぶりの信託業法の根本改正により、「知的財産権の信託」が全面的に解禁され、グループ企業やTLOにおける、また中小・ベンチャー企業等から委託を受けた、信託を用いた知的財産権の一括管理を行うことが可能になった。信託は、独自の「転換機能」を本源的な特色とし、種々の利点を有しつつも、組成において大変柔軟性を有するため、知的財産権の管理スキームにおいても非常に期待されている。しかし、新たな対象資産としての「知的財産権」の信託に際しては、これまで出てこなかったような新たな問題点が出てくることにも留意が必要である。また、信託の有する種々のメリットは、委託者から受託者への財産権の移転、及び、それを前提として受託者に課される種々の高度の義務に裏付けされるものであって、信託の独自のメリットを享有するということは、同時に信託に関する法理から制約を受けるということにもなる。信託は“魔法の杖”ではないことを確認しておくことも重要である。 |