「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 1号 / 49頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.313) |
論文名 | No.313 優先権主張の効果の認否―同一クレームで明細書の記載を追加した場合― |
著者 | 齋藤悦子 |
抄録 | 特許法第41条は、特許出願に係る発明について、先の出願の当初明細書又は図面に記載された発明に基づいて優先権を主張することができると規定する。優先権主張の効果は条文上明確であるが(特許法第41条、2項、3項)、「優先権主張を伴う特許出願に係る発明のうち、当該優先権主張の基礎とされた先の出願の当初明細書又は図面に記載された発明」の認定方法については規定がない。本件は、先の出願と後の出願との特許請求の範囲の記載が同一であるにもかかわらず、追加した実施例によって優先権主張の効果が否定された事例である。判決では、後の出願の発明の要旨となる技術的事項が、追加された実施例及びその効果の記載によって先の出願の発明の技術的事項の範囲を超えたと判断するが、「技術的事項の範囲を超えた」とはいかなる部分をいうのであろうか。判決に基づく拒絶理由への対応策や、効果的な優先権主張出願などについて検討する。 |