「知財管理」誌
Vol.55 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 55巻(2005年) / 11号 / 1543頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許発明の技術的範囲の解釈に関する一考察―均等論を中心に― |
著者 | 小島喜一郎 |
抄録 | 特許法は、「特許請求の範囲」に特許発明の構成の全てが記載されていることを前提に(特許法36条5項)、特許発明の技術的範囲を「特許請求の範囲」にもとづいて定めなければならないとする(特許法70条)。ところが、判例・学説は、均等論の下に、「特許請求の範囲」記載の構成要件を充足しない技術に対しても、特許発明の技術的範囲を及ぼすことを許容している。 本稿では、均等論に関する最高裁判決(最判三小平成10年2月24日)以前の裁判例の分析にもとづき、そこで導入が図られた均等論の具体的内容を明らかにし、それを特許制度の趣旨と比較検討した上で、均等論が、「特許請求の範囲」に対する特許権者(出願人)の責任、及び、特許発明の実質的価値の保護という均等論の目的に鑑み、「出願時の均等技術」に対して特許発明の技術的範囲を及ぼすという問題点を内包することを指摘し、さらに、特許発明の実質的価値に応じた保護の実現へ向けた、均等論の理論的意義を考察した。 |