- トップ
- 協会活動
- 2024年度国際活動
- 2025年2月18日 WIPO PCT作業部会(第18回)への参加
国際活動
2025年2月18日 WIPO PCT作業部会(第18回)への参加

今回の作業部会には、国際第2委員会から、谷口貴啓委員長(村田製作所)、中村智子副委員長(リコー)、および西田翔副委員長(ソニー知的財産サービス)の3名のメンバーが現地参加しました。3日間に20個の議題について意見交換がなされ、現地参加の80人以上のメンバーとリモート参加の100人以上のメンバーにより活発な議論がなされました。今回JIPAからは4つの意見を発信してきました。
- 国際出願の電子処理
処理効率と精度を向上させるという観点からデジタル化に賛成であり、国際事務局と応募者またはその代理人との個人情報に関する連絡手段として、電子メールが重要であることを理解している。一方で、応募者がスパムメールや有害なウィルスのリスクを避けるために、一般に公開されるフォームに電子メールアドレスを表示すべきではない。 - PCT手数料の同等額の設定
為替レートの変動がWIPOの財源に大きな影響を与えることは理解する。一方、出願料に為替レートをダイナミックに反映させることは、出願人や特許事務所に影響を与える。例えば、為替レートによる料金の値上げは、出願人の予算計画に影響を与える可能性がある。
そこで、料金の変更が明確かつ迅速に伝わるようなシステム設計をお願いしたい。この際、出願人や特許事務所の意見を取り入れた制度設計をお願いしたい。 - ISRフィードバック試行プロジェクト
このパイロット・プロジェクトは、ISAの証明書を改善する上で大きな意義があると考える。もちろん、コストや構造上の問題はあるだろう。
しかし、このような新しい試みが続けられ、PCT制度が審査官やユーザーにとってより良い制度に発展することを期待し、協力していきたい。 - 知的財産、遺伝資源及び関連する伝統的知識に関するWIPO条約
私たち日本知的財産協会(JIPA)は、会員企業1,010社(2025年2月5日現在)を擁する世界最大級の知的財産ユーザー団体である。
私たちは以下の理由からWIPO新条約に関して、PCTの改正に関する議論は時期尚早と考える。- WIPO新条約(GRATK条約)は2024年5月のWIPO外交会議で採択されたものの、現時点で批准国は1か国であり、発効には至っていないこと
- 各国がこの条約をどのように実施するのかまだ明らかでないこと
- 私たちは拙速な議論は出願人に不必要な負担を強いることになり、この使いやすいPCT制度を維持するためには慎重な議論が必要であると考える。
国際会議であるPCT作業部会にJIPA代表として参加させていただき、各国代表と意見をすり合わせて発信することの重要性、ユーザー団体の代表としてJIPAが意見発信することの意義、について再認識することができました。また、また、国際第2委員会で取り組んでいるPCT19条/34条補正等について、欧州や米国の関係者と意見交換することができ、非常に実りある会合でした。
JIPAは世界最大級のユーザー団体として、ユーザーの声を規則・制度設計に反映するよう、国際事務局および各国に意見発信を続けて参ります。
左から、中村智子副委員長(リコー)、西田翔副委員長(ソニー知的財産サービス)、
谷口貴啓委員長(村田製作所)
