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国際活動
第13回ハーグ作業部会(スイス、ジュネーブ)への参加
2024/10/21(月)から23日(水)の3日間、スイス、ジュネーブのWIPOにおいて開催された第13回ハーグ作業部会に、JIPA意匠委員会の関副委員長(パナソニックオペレーショナルエクセレンス)、高比良委員(セイコーエプソン)の2名が現地参加しました。
ハーグ作業部会は、年に1回開催される国際会議で、締約国の特許庁やユーザー団体が集まり、国際意匠登録制度であるハーグ制度改善のために必要な法改正等に関する議論が行われます。日本からは特許庁、オブザーバーとして日本弁理士会、JIPAが参加しました。コロナ禍以降、JIPAからはオンラインで参加していましたが、本年度の議題は、複数クラス出願や複数意匠の分割など、いずれもユーザーにとって実務上影響の大きいものであり、現地参加し意見発信を行いました。
議題の概要及びJIPAから表明した意見は下記の通りです。
ハーグ作業部会は、年に1回開催される国際会議で、締約国の特許庁やユーザー団体が集まり、国際意匠登録制度であるハーグ制度改善のために必要な法改正等に関する議論が行われます。日本からは特許庁、オブザーバーとして日本弁理士会、JIPAが参加しました。コロナ禍以降、JIPAからはオンラインで参加していましたが、本年度の議題は、複数クラス出願や複数意匠の分割など、いずれもユーザーにとって実務上影響の大きいものであり、現地参加し意見発信を行いました。
議題の概要及びJIPAから表明した意見は下記の通りです。
- 複数クラス出願
現行規則では、複数クラス出願は同一分類のものに限られており、例えば、電子レンジとそのGUIをまとめて出願したい等のユーザーニーズに対応していません。このような背景から、ハーグ制度において単一クラス要件を撤廃した場合の対応について議論しました。JIPAからは、複数クラス出願のユーザーニーズ、及び、コストメリットを強調し、加えて、国際意匠登録の調査ツールであるHague Express Databaseのシステムの課題(複数クラス出願の場合、代表図一覧に1件目のデザインしか表示されず、クリアランス調査に工数がかかっている点)を伝え、システム改修を前提に単一クラス要件の撤廃に賛成すると表明しました。 - 複数意匠の分割
現行規則では、上記単一クラス要件を満たせば一つの国際意匠登録出願に、2以上、最大100までの意匠を含めることができます。これにより、意匠毎に出願をするよりも出願費用を抑えることができます。一方で、複数意匠出願を認めていない締約国は、単一性欠如を理由に拒絶することができます。当該拒絶を解消するために、通常は複数意匠を分割しますが、分割対応による庁費用や代理人費用により、複数意匠出願によるコストメリットが喪失します。そのため、出願人は、上記締約国を指定する場合に複数意匠出願を避ける傾向にあり、ハーグ利用促進を阻害している可能性があります。このような背景から、単一性欠如の拒絶通報について、今後の検討に向け議論しました。JIPAからは、複数意匠の単一性に関する拒絶通報によるコストメリット喪失がハーグ利用の促進を妨げている旨を強調し、単一性に関する拒絶通報の削減に向けて積極的な議論を進めていただくことを強く要望しました。 - 意匠の複製物の様式
現行規則では、国際意匠登録出願に含めることができる意匠の複製物の様式として、3Dモデルファイルや動画は含まれていません。GUI等の意匠保護の重要性の高まりを受け、ハーグ制度における複製物の様式に関する検討に向けて意見交換を行いました。JIPAからは、意匠の複製物の様式について指定国官庁間で運用が異ならないようハーモナイズを要望する旨を表明しました。 - 実施細則の修正提案
現行の実施細則では、部分意匠出願のディスクレーム部について、説明欄への記述や、図面で表現(点線、破線等)することが可能と規定されています。締約国によっては、図面で表現していても説明がないとして拒絶通報を受ける場合があります。今回、ディスクレーム部に関する説明を記述することを義務付けるWIPOからの提案について議論しました。JIPAとしてはWIPO提案に賛成するとともに、ディスクレーム部の記述については必要最低限とするよう要望しました。
今回の議題はいずれも継続議論の対象となっています。ハーグを使った国際意匠出願は日本企業にとって外国出願における重要な選択肢ですので、今後も日本ユーザーの利便性向上に向け、JIPAから委員を継続派遣し、日本ユーザーの意見を引き続き表明してまいります。
- ハーグ作業部会(スイス、ジュネーブ)会場
- 高比良委員 関副委員長