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国際活動
2024年2月19日 WIPO PCT作業部会(第17回)への参加
スイス・ジュネーブの世界知的所有機関(World Intellectual Property Organization: WIPO)において、2024年2月19日から2月21日にかけて第17回PCT作業部会(PCT-WG)が開催されました。PCT-WGは、PCT同盟総会に提案すべき議題を、加盟国の政府、国際機関代表、およびユーザー団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、JIPAはオブザーバーとして参加しています。
今回は国際第2委員会の林潤平委員長(キヤノン)、井下健輔副委員長(富士通)、および中村智子副委員長(リコー)の3名が、第13回大会以来となる現地参加をしてきました。
3日間という短期間にも関わらず、20個の議題と、1つのワークショップ、および1つのサイドイベントが開催され、現地に参加した100人以上のメンバーとリモート参加者による活発な議論が繰り広げられました。
今回JIPAからは7つの意見を発信してきました。
- ユーザーとしての「PCT-PPH」の現状について
過去に一部の国の反対に遭い、PCT-PPHはPCT規則に正式に導入されていませんが、早期権利化を望む出願人にとって有益な選択肢であることを発信するとともに、正式導入に際しては申請からファーストオフィスアクションまでの目標期間を決定するよう意見しました。 - 個人情報保護とPCTについて
メールアドレスを公開ファイルビューから除外する提案がされたため、その提案について賛成であることを表明するとともに、メールアドレスのみならず、発明者の住所、代理人の住所についても除外対象に含むよう意見しました。 - 規則の更なる改正26.3-第3条 (4) (i) に基づく欠陥の修正の要請について
国際出願が単一言語で出願されていない特定の状況において、図面中の要約及び本文の事項の公開言語への翻訳を要求することができない可能性があるため規則改正が必要である、という日本特許庁の提案を支持する意見を発信しました。 - 書面によらない開示の引用について
PCTに基づく先行技術の定義の一部として書面以外の開示を含めるためのPCT規則の改正が提案されたため、ISRに動画を記載する場合、URLのみならず動画の参照箇所、動画の公開日、改変の有無、動画を確認した日付を明記するルールを作るよう提案しました。 - カラー図面について
PCT規則11がカラー図面の使用を許可するように改正されようとしているため、この改正を支持するとともに、国内段階でもカラー図面を認める国がもっと増えること、色の数などカラー図面そのものの定義を国際段階、国内段階で一致させることを希望する意見を発信しました。 - PCTにおけるWIPO基準ST.26の実施について
ST25からST26への変更により、ST25を用いた出願から分割出願を行うときにST26を出願人が追加する作業が発生しています。今後フォーマットの変更が生じても、国内段階で出願人に負担が発生しないようなルールが作られることを希望する意見を発信しました。 - IP5 PCT協同調査及び検討:最終報告書について
国際第2委員会がIP5 PCT協同調査について研究していることを発表し、報告書に掲載されていないデータについて一部報告を行いました。また、報告書で言及されていなかった制度・運用上の課題がなかったかどうかについて質問を行いました。
最終日の21日に、Dong Cheng議長より、「国際出願および関連書類の出願媒体」、「国際事務局のための通信言語」、「規則の更なる改正26.3-第3条 (4) (i) に基づく欠陥の修正」、「書面によらない開示の引用」の4つの議題については2024年7月に予定されているPCT同盟総会に提出することが発表され、会議は終了しました。 休憩時間中に国際事務局や様々な国の参加者と話す中で、国際会議に参加するJIPAのようなユーザー団体が自国にはないという声を何度か聞きました。私達が毎年、PCTについて調査・研究を行い、論説を発行していることを説明するとともに、今回のように数多くの意見発信を行ったことにより、JIPAの存在を対外的にアピールしただけではなく、ユーザー団体がこのような国際会議に参加する意義を国際事務局や他国の参加者にアピールできたと思います。JIPAは、PCT制度の適切な発展に向け今後も、ユーザー団体としての意見を世界に向けて発信して参ります。
- 左から、井下健輔副委員長(富士通)、林潤平委員長(キヤノン)、中村智子副委員長(リコー)