国際活動

WIPO PCT作業部会(第16回)への参加

  スイス・ジュネーブの世界知的所有機関(World Intellectual Property Organization: WIPO)において、2023年2月6日から2月8日にかけて第16回PCT作業部会(PCT-WG)が開催されました。PCT-WGは、PCT同盟総会に提案すべき議題を、加盟国の政府、国際機関代表、およびユーザー団体が一堂に会して事前に協議する国際会議で、2008年より開催され今回で16回目になります。昨年10月に第15回が開催されましたが、2023年7月に予定されているPCT同盟総会に提出する議題が確定しなかったため、前回から4か月という異例の短い間隔での開催となりました。2020年に始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、第13回からハイブリッド形式で開催されています。第15回は、加盟国の政府機関等の現地参加が認められたものの、今回は議題が少なかったこともあり、現地参加は国際事務局のみとなりました。今回もJIPAはオブザーバーという立場で参加しており、国際第2委員会の林潤平委員長(キヤノン)、井下健輔副委員長(富士通)、および久田亮太副委員長(本田技研工業)がオンラインにて参加しました。

 今回の議題は、「国際事務局との通信言語」、「PCTにおける方式審査」、「PCT最小限資料」、「混合言語の国際出願」及び「WIPO手数料移転サービス」の5つでした。JIPA国際第2委員会からは2つの意見を発信してきました。
 「PCTにおける方式審査」については、提案された規則改正案に賛同の意を示しました。また、将来的に国際段階でフルカラー図面を受理しようとしている国際事務局の考えに対しては、移行国がフルカラー図面の受理をできる体制が整った後に開始してほしい、という要望を伝えました。また、IP5 Industry Consultation Group meetingなどで既に5極が図面の様式を統一化しようという取組を始めていますので、この取組に期待していることを発信しました。
 「PCT最小限資料」についても、提案された規則改正案に賛同の意を示しました。この規則改正が、今後、新規に参加する国際調査機関の調査能力の成長に役立ち、国際調査報告の内容が国際調査機関の能力によってばらつくことがないことを期待していることを発信しました。
 また、「国際事務局との通信言語」については、事前打ち合わせにてJIPAから日本特許庁に伝えた、出願言語以外の言語も容認してほしいという要望が、日本特許庁から発信されました。

 最終日の8日に、ミハイロビッチ議長より、「PCT最小限資料」、「混合言語の国際出願」の2つの議題については2023年7月に予定されているPCT同盟総会に提出することが発表されました。また、残りの3つの議題については、次回以降のPCT作業部会においても継続して議論されるべきであると発表されました。

 次回のPCT作業部会では、上記の議題以外にも、2018年7月から2020年6月まで行われたIP5のPCT協働調査試行プログラムの最終報告等が予定されています。JIPAは、PCT制度の適切な発展に向け今後も、ユーザー団体としての意見を世界に向けて発信して参ります。

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