「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 9号 / 1275頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.486) |
論文名 | (No.486) 審決を取り消す判決の進歩性判断に関する理由中の判断の拘束力 |
著者 | 飯島歩 |
抄録 | 特許審決を取り消す判決は特許庁を拘束し、その範囲は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたる。他方、進歩性は多分に規範的評価の対象たる事実であって、複雑な判断経路を経て認識されるものである。また、判決では、進歩性について完結的判断が示される場合もあれば、判断過程の誤謬が指摘されるにとどまる場合もある。そのため、進歩性判断を含む取消判決について、具体的な拘束力の範囲を確定することは必ずしも容易でない。また、審決取消訴訟には、メリヤス編機事件最判に由来する審理範囲の制約が存在し、これも拘束力の範囲に影響を及ぼすと考えられている。本稿は、知財高判平成29年11月21日平成29年(行ケ)第10003号を題材に、拘束力の範囲を巡る問題点の整理をするとともに、実務的教訓を得ることを目的とする。 |