「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 8号 / 1088頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 米国特許法における外国出願許可制度─秘密特許制度の外延とその実務的意義─ |
著者 | 玉井克哉 |
抄録 | 米国の外国出願許可制度は秘密特許制度の外延をなすものであるが、安全保障などに関わる発明か否かを問わず、すべての特許出願に適用される。それは、米国内でなされた発明について外国への出願を一律に制限するものであり、違反に対する制裁は、出願拒絶または特許無効と、極めて重い。遡及許可申請という救済も用意されてはいるが、その適用範囲については、深刻なリスクがある。一律に米国出願を先行させるという対策が日本企業にとって難しいとすると、可能な限り米国法の要求に従うよう、注意する必要がある。特に、グローバルな研究戦略の一体化を進める日本企業がすべての発明についてまず日本特許庁に出願する運用を行っていると、リスクは大きい。他方で、米国の制度に不慣れな外国企業が不用意に自国での出願を先行させていた場合などは、同一発明を基礎とする特許権によって米国で侵害訴訟を提起されたときに、有効な防御策となりうる。 |