「知財管理」誌
Vol.68 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 68巻(2018年) / 5号 / 677頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 35) |
論文名 | (No. 35) [カナダ]最高裁が発明の有用性判断基準としてのPromise Doctrineを否定 |
著者 | 三宅俊男/長谷川 洋 |
抄録 | カナダでは、裁判所が特許発明の有用性について特異な解釈を行ってきた。いわゆる、Promise Doctrineに基づく有用性要件を理由として、多くの特許が無効にされている。Promise Doctrineとは、有用性について何らかの約束(Promise)を明細書に記載した場合、具体的に明細書にその根拠が示されているか、あるいは、明細書の記載からそのように使用できることが予測できなければならないとする教義である。この教義について、「光学的に純粋な医薬化合物の塩」にかかる特許無効事件において、カナダ最高裁は、Promise Doctrineを根拠とする有用性判断は不適切であり、本件特許は有用性を欠如せず無効ではないと判決した。本稿では、最高裁判決の内容を紹介すると共に、カナダにおける有用性判断の変遷及び今後の出願実務における明細書の記載方法についても考察する。 |