「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 9号 / 1381頁 |
論文区分 | 判例研究(No.358) |
論文名 | No.358 著作権法上における自動公衆送信装置および同装置による送信の主体−まねきTV事件上告審判決− |
著者 | 泉 克幸 |
抄録 | 本件は、インターネットを利用して放送番組の転送サービス(以下、「本件サービス」)を行うYに対し、複数の放送局Xらが、本件サービスは放送について各Xが放送事業者として有する著作隣接権(送信可能化権。著作権法99条の2)を侵害し、また、番組について各Xが著作権者として有する著作権(公衆送信権。著作権法23条1項)を侵害すると主張し、Yによる送信可能化行為等の差止めおよび損害賠償を請求した事案である。1審および2審1)とも請求が認められなかったため、Xらは最高裁に上告を申し立てた。 最高裁は送信可能化権侵害が成立する前提として「自動公衆送信装置」の意義、および同装置を用いて送信を行う主体についての一般論を展開した後、本件事案に当てはめを行った。そして、本件サービスで用いられている「ベース ステーション」は自動公衆送信装置に当たり、ベースステーションに放送を入力するYが送信の主体であるので、Yは放送につき送信可能化を、番組につき公衆送信を行っているとの判断を行い、原判決を破棄し、本件を原審知財高裁 に差し戻した2)。後述するように、本判決の判断には疑問を覚える3)。 <参考条文>著作権法2条1項7号の2、9号 の4、9号の5、2条5項、23条1項、99条の2 |