「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 8号 / 1237頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.397) |
論文名 | No.397 商標法4条1項11号における商標の類否判断と「取引の実情」 |
著者 | 勝見 元博 |
抄録 | 本件は、本件商標が商標法4条1項11号の規定に違反して登録されたものではなく、その登録を無効とすることはできないとした無効審判請求不成立審決を不服として、無効審判請求人が提訴した審決取消訴訟の事案である。 商標の類似論は商標制度における代表的な論点である。また、実務家にとっても、商標の類否判断は、日常検討する機会の最も多い作業の一つである。過去の裁判例は、「氷山」事件最高裁判決において示された判断基準を踏襲し、「外観、称呼、観念」の三要素の対比を原則としながら、これに「取引の実情」を考慮することにより、数々の弾力的な判断を行ってきた。本判決は、称呼」「観念」が一定程度以上類似すると判断しつつも、「外観」が相違し、また、本件商標が受験生応援製品について使用されている実情を斟酌し、引用商標との間で現実の混同可能性が低いことを理由として、両商標が類似しない旨判断した点が注目に値する。 |