「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 8号 / 1179頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 米国の自明型二重特許の判断に影響を及ぼすSun対Lilly事件判決の意義 |
著者 | バイオテクノロジー委員会第2小委員会 |
抄録 | SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES, LTD. v. ELI LILLY AND COMPANY(CAFC 2010-1105, 以下、Sun対Lilly事件)では、ある化合物をクレームする先行特許の明細書に当該化合物の複数の医薬用途が記載されていた場合において、先行特許の特許公報の明細書中に記載された医薬用途の一つを、同一出願人が後行特許でクレームとしていたときに、自明型二重特許が適用されて後行特許が無効と判断された。判決文で表された限り、先例では、先行特許の明細書に記載された用途の数に関する争点、および、自明型二重特許の判断に際して参酌すべき明細書に関する争点は争われておらず、本事件で初めて争われたと考えられる。本件は出願公開制度導入前の特許に対してなされた判断ではあるが、自明型二重特許の要件は出願公開制度導入後の出願にも適用される。化合物をクレームする同一出願人の先願の明細書にその化合物の用途を記載して後願で同一化合物の用途をクレームする場合の出願、審査および訴訟の実務に今後も影響する可能性があるものと考えられた。 |