「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 6号 / 823頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.394) |
論文名 | No.394 一致点・相違点認定における「まとまりのある」構成単位−被覆ベルト用基材事件− |
著者 | 植木 久一 |
抄録 | 審査・審判における一致点・相違点の認定に対して、裁判所が疑問を投げ掛けた事案を紹介する。判決では、「審決は、…相違点を、ことさらに細かく分けて…認定した上で、それぞれの相違点が…容易であると判断した。このような判断手法を用いると、…進歩性が肯定されるべき発明に対しても、正当に判断されることなく…。相違点の認定は、発明の技術的課題の解決の観点から、まとまりのある構成を単位として認定されるべきであり、この点を逸脱した審決における相違点の認定手法は、適切を欠く。」と述べている。 判決そのものは、「しかし、本件では、原告において、このような問題点を指摘することなく、…相違点1ないし5に係る認定及び容易想到性…を自認している以上、審決の上記の不適切な点を、当裁判所の審理の対象とすることはしない。」と締め括られている。 上記判決の2ヵ月後に、引例との相違部分を周知技術から取込んで主引用発明を認定し、結果として、容易想到性の論理構成に問題を残した審決の取消判決があったので、併せて紹介したい。 |