「知財管理」誌
Vol.61 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 61巻(2011年) / 10号 / 1551頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No.399) |
論文名 | No.399 発明の要旨認定に関する明細書内容の参酌について |
著者 | 谷 和紘 |
抄録 | 本事件は、特許第3678417号「個人認証方法及びシステム」の無効審判の請求不成立審決に対する審決取消訴訟である。知財高裁は、明細書の発明の詳細な説明を参酌して請求項中の文言の技術的意義を認定し、本件発明が引用発明に基づいて容易に発明できたものではないとして、本件発明の進歩性を肯定した。リパーゼ最高裁判決では、特許出願に係る発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明に照らして明らかであるなど、発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情のない限り、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきであると判示されている。そこで、本稿では、特段の事情とは、具体的にいかなる場合であるのかを、近時の判決をもとに考察した。 |