「知財管理」誌
Vol.59 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 59巻(2009年) / 9号 / 1067頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 非係争約束を根拠に消尽を適用した米国連邦巡回控訴裁判所2009年4月8日判決 |
著者 | 西 美友加 |
抄録 | 2009年4月8日、連邦巡回控訴裁判所(United States Court of Appeals, Federal Circuit)は、特許権者が和解契約上相手方に対し特段限定を付さずに「将来の特許侵害について提訴しない。」旨約束した場合、特許権は消尽すると判断した。当該判断に際し、連邦巡回控訴裁判所は、非独占的特許ライセンスと、ライセンシーを訴えない旨の約束とを同等と看做し、消尽の有無は、「ライセンス」か「非係争約束」かという形態の如何に拘わらず、いかなる行為が特許権者によって認められたか(authorized)の問題であると判示した。また、連邦巡回控訴裁判所は、同和解契約締結時に発行されておらず契約上特定されていなかった特許についても、和解の対象となった特許発明より範囲が広く当該発明の実施に必要なものは、黙示ライセンスが付与されたものと看做し、特許権は消尽すると判断した。本判決は、知財に係る契約書のドラフティングに際し留意すべき点を示すものであり検討を要する。 |