「知財管理」誌
Vol.59 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 59巻(2009年) / 6号 / 615頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 特許ライセンス契約をめぐる諸問題―通常実施権登録制度と特許権成立前におけるライセンス契約を中心にして― |
著者 | 木村耕太郎 |
抄録 | わが国における特許ライセンスには専用実施権の設定と通常実施権の許諾とがあるが、通常実施権の方が圧倒的に多く利用されている。通常実施権は登録することもできるが、この登録制度は利用率が極めて低い。利用率が低い主たる理由は、通常実施権の対価の額、通常実施権者の氏名・名称など、公開されたくない情報が登録によって公開されてしまうことにあるとされている。そこで平成20年特許法改正においては、通常実施権登録制度を使いやすくするため、対価の額が必要的登録事項から外されるなどの改正がなされた。さらに、同年改正において「仮専用実施権」および「仮通常実施権」制度が創設され、特許権成立前のライセンスという従来からの実務慣行に法的根拠を与えることとなった。しかしながら、特許権が成立しなかった場合や、ライセンス時のクレームと成立したクレームに齟齬がある場合にどうなるかといった問題は、法改正によって手当てされているわけではないから、契約書作成においては留意が必要である。 本稿では特許ライセンス契約において生じる諸問題について、平成20年改正の与える影響を中心に紹介するとともに、特許ライセンス契約作成時の注意点とチェック・ポイントについて論じる。 |