「知財管理」誌

Vol.59 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 59巻(2009年) / 2号 / 167頁
論文区分 論説
論文名 商標管理からブランド情報価値管理へ―企業のブランド戦略と知的財産部門の役割―
著者 伊藤知生
抄録 企業の広告宣伝投資の成果であるブランドの情報価値は、ブランドがいかに使用されるかにより変動する。ブランド拡張による「自己」希釈化、品質管理を欠く使用許諾など、短期的な利益追求のためのブランド使用は、需要者における認識のあり方(情報価値)を変質させるばかりでなく、場合によっては法的リスクをも生じさせてきた。これらは企業がブランド戦略やブランド情報価値の本質を理解していないこと、商標をはじめとする標識の専門家である知的財産部門が、ブランド使用の当否判断に関与していないことに起因する。本来は「ブランドで売れる」事態を創りあげるブランド戦略の過程において、企業の知的財産部門は商標管理にとどまっていてよいのか。いや、ブランドに関する学際的な知識を習得することで企業マネジメントへの影響力を高め、ブランドの情報価値を管理する、真の「ブランド・マネージャー」であるべきだ。
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