「知財管理」誌

Vol.47 記事詳細

掲載巻(発行年) / 号 / 頁 47巻(1997年) / 9号 / 1231頁
論文区分 論説
論文名 米国特許法102条(b)項に規定する「販売を理由とする不特許事由」と販売活動との関係
著者 藤元亮輔、クリストファー・E・チャールセン(監修)
抄録 米国特許法102条(b)項によれば、発明が、米国で、特許出願日の1年以上前に販売状態におかれていれば、新規性を喪失して特許を受けられない。そして、ここでいう販売とは、現実の販売のみならず販売の申出も含む。
この点、日本の特許法29条1項2号は、「公然実施」と規定している。この「公然実施」の解釈につき、発明が技術的に理解された態様における実施(2条3項各号)、とする見解がある。2条3項各号に規定されている実施との関係では、販売は譲渡に、販売の申出は譲渡の申出にそれぞれ対応すると思われる。そこで、ある企業の販売活動が販売の申出で、上記見解を適用した場合には、日本では新規性を喪失していなくても米国では新規性を喪失するという状況が考えられる。企業はかかる状況を十分認識して、その場合には、発明が販売状態におかれた日から1年以内に米国特許出願をしなければならない点に留意すべきである。
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