「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 11号 / 1392頁 |
論文区分 | 海外注目判決(No. 86) |
論文名 | (No. 86) [中国]侵害訴訟における権利無効の抗弁 に対する最高人民法院の考え方と 侵害訴訟と無効審判の並立問題の解決策 |
著者 | 伊藤貴子 |
抄録 | 中国の知的財産権侵害訴訟では、「権利無効の抗弁」は認められておらず、対象権利の無効を主張するためには、別途、無効審判を請求する必要がある。しかしながら、本件一審裁判所は、原告の実用新案権が明らかな無効理由を有する状況において、被疑侵害者による「権利無効の抗弁」を支持して原告の訴え却下の判決を下した。これに対し、二審の最高人民法院知財法廷は、中国の法制度では「権利無効の抗弁」が認められないことを確認して一審判決を取消すと同時に、公平原則への配慮から、権利者の訴えを裁定で却下した。本件の二審裁定は、更に、両当事者が将来の無効審判結果に応じた金銭的補償を与えることを相互に事前承諾し、最高人民法院がそれを高く評価したことで注目された。本稿では、中国の無効審判と侵害訴訟との並立問題の現状を踏まえ、本件事案の概要、一審・二審の判断を概説した上で、本件裁定の実務者に対する意義を考察する。 |