「知財管理」誌

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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 6号 / 727頁
論文区分 海外注目判決(No. 92)
論文名 (No. 92) [英国]AIを発明者とする出願を認めない旨 を判断したDABUS事件英国最高裁判決
著者 中所昌司
抄録  2018年、スティーブン・セーラー氏は、英国特許庁に2件の特許出願を行った。同氏は、自身が発明者であることを明確に否定し、AIシステムである「DABUS」が発明者であること、及び、自身はDABUSの所有権に基づいて特許の付与を受ける権利を取得したことを主張していた。この出願に関して、2023年12月20日、英国最高裁は、英国特許法上の発明者は自然人でなければならず、AIを発明者とする出願は取り下げられたものとみなされる旨の判決を下した。もっとも、AIのみが創作的に関与した発明に関する、特許権付与の是非、誰を発明者とするべきか、及び、誰を出願人・特許権者とするべきかの政策問題は未解決である。上記の最高裁判決も、このような政策問題は、近年のAI技術の急速な進歩により、益々重要になってきていることを指摘している。AIを利用した研究開発は今後も増加・進化していくことが確実であるため、その成果である発明の保護に関する議論は、引き続き発展させていく必要がある。
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