「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 6号 / 718頁 |
論文区分 | 判例と実務シリーズ(No. 541) |
論文名 | (No. 541) 日本国外で特許発明の構成要件の一部が 充足される場合にシステムの発明の「生産」が 認められなかった事例 |
著者 | 松下 外 |
抄録 | 本判決は、ネットワーク関連発明に属する「コメント配信システム」の発明(物の発明)に関し、原告が、米国内に所在するサーバから日本国内のユーザ端末に一定のファイルを送信する被告の行為が、同システムの「生産」にあたる等と主張して、同ファイルの配信の差止め等、同サーバ用プログラムの抹消及び同サーバの除去並びに損害賠償請求等をした事案である。裁判所は、属地主義を根拠に「生産」(特許法2条3項1号)にあたるためには、特許発明の構成要件の全てをみたす物が日本国内において新たに作り出されることが必要である旨判示し、被告システムが用いる各サーバが米国にあることを理由に「生産」を認めなかった。国境を跨ぐ特許権侵害については、日本の特許法の適用範囲及び要件に関し、多くの議論がされている状況である。本稿は、本判決及び関連判決並びに従前の議論を踏まえ、日本の特許法上「実施」が認められる範囲及び考え得る実務対応を検討する。 |