「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 8号 / 959頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 職務発明に対する報奨金算定のための 特許評価についての検討 |
著者 | 杉浦亮介 |
抄録 | 職務発明をした発明者に対する「相当の利益」の一つとして報奨金がある。「相当の利益」の与え方は各企業に委ねられているため、報奨金制度の設計にあたっては発明者に与える納得感と運用のコストのバランスをいかにとるかが課題となることが多いと考えられる。本稿では、過去の特許から学習して、報奨金を決めるための特許評価を機械的に行う方法について一案を論じる。報奨金の支払いは企業から発明者へのインセンティブという側面が強いことから、評価の意図の透明性や、評価の再現性を特に重要視した設計指針を示す。そして、そこから導き出される課題を挙げ、その解決法の一案として評価項目を分類するというアプローチについて議論する。定量的な特許評価を適切に設計して報奨金算定に用いることで、透明性や再現性をもって発明者とのコンセンサスを図りながら、コストを抑えて長期間の運用に耐えられる制度にすることができると考えられる。 |