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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 75巻(2025年) / 2号 / 219頁
論文区分 判例と実務シリーズ(No. 558)
論文名 (No. 558) 記述的な構成語からなる商標の識別力と商標的使用の判断─熱中対策応急キット事件─
著者 西村雅子
抄録  本稿では、記述的な構成語からなる商標の識別力の判断と商標的使用の判断について実務的な観点から検討する。熱中対策応急キット事件は、特許庁で識別力を認められた登録商標が、裁判所では商標法3条1項3号に違反の無効理由があり商標権を行使することができないと判断された。識別力の判断は特許庁と裁判所で異なる場合があり、バレないふたえ事件一審、くるんっと前髪カーラー事件でも両者の判断は異なっている。いつでも簡単トイレ事件では、登録商標において文字部分に識別力があるかの判断を誤ったといえる事例である。商標的使用の判断要素は、表示態様から商品の説明的表示であることが理解されるか、登録商標の態様と類似しないか(普通に用いられる方法の表示か)、他に識別力ある表示が存在するか、などとなる。構成語が記述的な登録商標については、出願過程において3条拒絶を受けて意見書等で反論している場合が多いため包袋禁反言も検討する。
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