「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 73巻(2023年) / 8号 / 937頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 「カラオケ法理」から遠く離れて |
著者 | 山口裕司 |
抄録 | 音楽教室事業者と日本音楽著作権協会との間の請求権不存在確認訴訟の最高裁判決は、日本音楽著作権協会の上告受理申立て理由のうちの生徒の演奏による著作物の利用主体に関して判断を行い、上告を棄却した。音楽教室事件最高裁判決は、音楽業界内の5年に及ぶ論争に決着をつけて、音楽教室における生徒の演奏主体性を認め、長きにわたり参照されてきたカラオケ法理に引導を渡した点で大きな意義を有し、今後の実務に与える影響も大きいものである。著作物の利用主体の認定については、近時のジュークボックス法理といった考え方の登場による議論の深化が見られ、音楽教室事件最高裁判決の示した一般論が今後どのように適用されるかについても、さらに事例の蓄積を待つ必要があるが、音楽教室事件最高裁判決の評価についての活発な議論を、約10年前に継続検討の扱いになったいわゆる「間接侵害」に係る立法措置の必要性についての議論につなげていくことも有益なのではないかと思われる。 |