「知財管理」誌

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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 74巻(2024年) / 8号 / 1011頁
論文区分 海外注目判決(No. 96)
論文名 (No. 96)[米国]「pH13かそれ以上」の文言解釈を巡る論争
著者 小林千明/ブライアン・C・ダイナー(英文編集)
抄録  特許クレームの侵害及び有効性は、争点となるクレーム用語の解釈に左右されることがある。それが実際に起きたのがActelion Pharmaceuticals Ltd. v. Mylan Pharmaceuticals Inc.(Actelion事件)である。Mylanは連邦地方裁判所の不利なクレーム解釈に基づき侵害を認めた。しかし、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)は決定を破棄し、外部証拠を検討するよう事件を地裁に差し戻し、地裁は2024年3月7日にMylanのANDA製品は非侵害であると判断した。本事件から、クレーム解釈の重要性は明確であるが、特許出願人は、しばしば特定のクレーム用語を含めるかどうか、またそれに関連する主張の影響を考慮せず、特許をいかに迅速に取得するかに焦点を置きがちである。本稿では、2023年11月6日の控訴審判決である Actelion事件を詳細に分析することで、特許出願人が実務に採用できる実践的な戦略を提示する。そして、訴訟中におけるクレーム範囲の問題を回避し、ひいては訴訟に費やす可能性のある多くの時間と費用を抑えることを目指す。
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