「知財管理」誌
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掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 71巻(2021年) / 6号 / 749頁 |
論文区分 | 論説 |
論文名 | 開放特許の成約件数はなぜ少ないのか─特許開放の誘因と成果に関する分析結果より1) ─ |
著者 | 米山茂美/山内 勇 |
抄録 | 特許等の知的財産の中には、権利取得の後、利用されていないものが少なからず存在する。工業所有権情報・研修館の開放特許情報データベースは、そうした未利用の特許等を他社にライセンスないし譲渡し、その有効活用を図ることを目的としている。しかし、現実には、そこに登録されている開放特許の成約件数は限られている。本稿では、質問票調査及び特許データを組み合わせた実証分析により、開放特許が成約に至らない理由について考察する。分析結果からは、その理由として、成約の前提となる問い合わせ件数が限られていること、その問い合わせ件数は技術的汎用性や学会発表等によって影響を受けることが確認された。また、交渉まで至った特許については、交渉力よりもリスク評価能力を高めることが重要となる点が示された。これらの発見的事実は、成約が限られている原因が、主に特許開放から成約までのプロセスの初期の段階、つまり開放すべき特許等の選択や開放に向けた事前の準備にあることを示唆している。 |