「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 4号 / 480頁 |
論文区分 | 特集(“知財”を超える) |
論文名 | 深センのイノベーションエコシステム ─3つのルーツとその融合─ |
著者 | 元橋一之 |
抄録 | 深センのイノベーションシステムの発展プロセスには「エレクトロニクス産業基盤」 、 「研 究開発型大企業」及び「サイエンスパークとハイテクベンチャー」というそれぞれ独立したルーツが 存在する。ただし、最近ではAIやIoT技術の進展や中国政府のベンチャー振興策の影響を受けて、こ の3つのルーツの融合化が見られる。北京や上海と違って公的な研究機関や大学が少ない深センにお いて、イノベーションの原動力となるのは、Huaweiやテンセントといった大企業である。これらの 企業が中国全土から有数な人材を引き付けるアンカー企業として機能し、ベンチャーエコシステムの 発展につながっている。また、企業活動に対する政府の介入度合いも少なく、中国特有のリスクが低 いことから、海外における中国系ハイテク人材の起業が相次いでいる。日本企業としても深センのイ ノベーション人材やハイテクベンチャーの隆盛を取り込むために現地ネットワークの構築に本腰を入 れて取り組むことが肝要である。 |