「知財管理」誌
Vol.70 記事詳細
掲載巻(発行年) / 号 / 頁 | 70巻(2020年) / 4号 / 443頁 |
論文区分 | 特集(“知財”を超える) |
論文名 | デジタル社会の進展と地政学的変化による知財を取り巻く現状の変化と将来予測 |
著者 | 橋本正洋 |
抄録 | 知財をめぐる変化は、依然として速くグローバルに動いている。特に近年、企業においては、 事業・経営戦略の中での知財戦略という色彩が濃い。このため、デジタル化・ネットワーク化、米中 経済デカップリング(分離)などグローバルな経済をめぐる動きが、知財の世界にも影響する。企業 の知財戦略や政府の知財政策が2000年代初頭以降最近まで大きく変容しているのはこれらの背景によ る。特に米中経済の問題は、通商にとどまらず、安全保障上の問題が大きいため、先端的な重要技術 (Emerging Technology)への新しい形の規制へ発展しつつあり、世界の経済には大きなインパクト を与え得る。これは日本企業の知財戦略に対する影響も大きい。 本稿では、こうした経済をめぐるグローバルな動き、デジタル化・ネットワーク化の影響や、特に 米中経済デカップリングが与える日本産業への影響を明らかにしつつ、知財戦略の環境変化を示し、 知財関係者が検討すべき事項を分析しつつ、世界と日本の経済の動向を予測して、今後の日本企業の 知財戦略の方向性を示す。 |